林深音「何者。 -建築家は何を生み出していくのか-」
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人新世という時代における、もの作り方について考えるのが課題趣旨であった。人新世というのは、様々な定義があるが、ここでは、物が溢れ新しいものがゼロから生まれなくなった時代のことを指す。課題の指導として、既存と既存を無秩序に足し合わせて新しいものを作る、つまりアセンブルという形式で課題を進めることを推奨された。しかし、私はこの課題において、既存同士を足し合わせるという行為であるアセンブルは、新しい場へ創出することに繋がり、人新世に最適とはいえないのではないかと考えた。そこで、私は、複数の建築ではなく、エレメントを豊富に抱えたひとつの建築にフォーカスし、その建築自体のアセンブルを行った。
Research
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Concept
上記のリサーチから国会議事堂は、こういった数多くのエレメントが集積された建築であり、よくも悪くも建築自体が政治自体の印象や性格づくりに関与してきたことがわかる。
またリサーチから、国会議事堂のエレメントは、形態・特徴(ハード) が理念・理想(ソフト)との関係によって成り立っていることがわかった。
形態・特徴(ハード)から理念・理想(ソフト)の流れ、つまり『表徴化』で生み出されたエレメントと、理念・理想(ソフト)から形態・特徴(ハード)の流れ、つまり『具現化』で生まれたエレメントがあると分析できる。
これらのエレメントに対して、人新世におけるアセンブルという手法を用いることで、現国会議事堂をこれからの「政治の可能性」と「政治と国民の新しい距離感」が体現された公共建築の集大成として提案する。
Design method
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Plan
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https://gyazo.com/e68f3e937c719e88b388f22d1e9ada1aガラスのマウソレウムが際立つ正面玄関の様子
https://gyazo.com/04f9a1868e0f0d7c0cd102a96bbcda17議場側から中庭を眺める
https://gyazo.com/6feae850ae988745a2accf83eb497ceb議場
https://gyazo.com/f5fa3a41194846de6e15c42f0b5ae6a6マウソレウムゾーンへのアプローチ
講評:地図は重ね合わせ、建物は内在する言語を分析,手法化しドライブしたもので、これも既にあるものから資材性(あるいは手法)を見出すという課題主旨に沿う選択。国会議事堂の構成要素を表徴化/具現化という指標で分類、対称形平面の踏襲、透明性の獲得、来訪者を受け入れる新たな機能設定やゾーニングなど創意と提案が重ねられていて見応えがある。地図の重合により正面軸線上に神田川が流れているあたりもファンタジックで読み解く意欲を掻き立てる魅力があった。(馬場)